わたしの耳は貝の殻


ウィスキーの芳醇な香りを反芻しながら寝る支度をしていた昨日の深夜、
唐突に頭によみがえった、懐かしい言葉。


わたしの耳は貝の殻 海の響きをなつかしむ

これは、ジャン=コクトーJean Cocteau)という詩人・芸術家の詩の一句。
小学生の頃に何かで出会って、なんて美しい響きのフレーズだろう、と
こどもながらに魅了されたのを覚えている。
昨日それを考えて、はた と気づいた。
コクトーは、フランス人だ。ならば、本当はこの人はこれをフランス語か何か、
少なくとも日本語以外でつづったはず。では、誰が?
誰がこの美しい日本語を生みだしたんだろうか?


そして、調べたらすぐに出てきた。
それは、詩人・堀口大學


もとのフランス語は、知らない。
だけど、日本人のわたしにとってはこれがコクトーの言葉の全てだし、
それだけでコクトーが果てしなくすばらしい詩人だと感じてしまう。


そして、コクトーはとても味と色気のある、すてきな絵を描く。
Webのすごいところは、調べているついでに、コクトーが詩人と絵描きだった
ということ以外に、映画も撮っていたことを知ることができたところだ。
そして彼の代表作の一つ、「オルフェ」というものがあったと。
それが、自分の大好きな映画、「黒いオルフェ」よりも前に、同じ神話を元に
描かれた映画だったと。


ほとばしる という表現が一番よくあうと思う、この映画(「黒いオルフェ」)の
生命力、熱情、感情や思考を超越した何か強い強い、いのちが持っている
どす黒い底力をうねりのように描いているところが、大好きだ。
荒削りで色気があって、胸焦がすようなこの映画がとっても大好きだ。


ビバ、思考の発散サポート・ツール;the internet.