KISS

どうしようもないなあ、と思うような状態になったり
なんだかよくわからない位忙しいときに
ああ、救いだなあ　と思うのは
体を動かすと頭がカラッポになる自分の単純さ。

土曜日は、きれいな小春日和だった。

社会人になってからの今まで、（採用担当だった都合上）
一番好きな"萌える"この季節は休みのない時期だったので、
桜の下でふにゃりとなることも、
理由もなく気持ちが高ぶってしまって　わー　と
桜並木を自転車で駆け抜けることも、
あまり機会がなかった。

土曜日は別に桜とか気にしてなくて、
とにかくカラッポになりたくて、ipodを聞きながら走り始めた。

気持ちのいい音楽と、気持ちのいい気候と。

カラッポ、カラッポ。

公園や、
近所の大通りや、
川沿いや、
気の向くままに走った。

気づいたら、通ったことのない道にさしかかった。
小さな運河沿いに、長い桜並木。
東京にしては少しだけ遅めに咲いてくれたのか、
桜は、ちょうど満開だった。

カラッポだった頭と心が、わー　と盛り上がった。
ipodはケツメイシの「さくら」にセット。
わーっと走り抜けた。
気持ちよかった。

気持ち、よかった。

そのままの気分で、家まで走り続けた。
気づいたら、出発してから一時間以上経っていた。

家についた時、なんとも言えない爽快な
気持ちになっていた。
ipodからは、ケツメイシの「涙」が流れていた。
カラッポの気持ちが一気にその歌詞で一杯になって、
理由もなく、泣いた。声をあげて。

翌日、友人のTと会った。
彼女は、ここ２年ばかり私から見ると
「もったいない」という状態にいた。
私は彼女の少し普通でない感覚や行動が好きだ。
その彼女が最近、私の思う彼女らしい魅力を再燃させて
いるのが、この日曜に感じられてなんだかとても嬉しかった。

カラッポになりたくて走ったのは、
自分の感情がごちゃごちゃしているように感じたから。
でも自分の感情を理論立てて理解しようとしても
そんな頭でっかちな試みは、意味のないこと。
これはこうだからこう、なんて難しく考えるのは
きっとほとんど、意味がない。

私が友人Tのことを嬉しく思うのも単純に彼女が好きだからで、
説明のつかないいろいろな気持ちがいっぱいある。
今感じるたくさんの楽しいという感情や
ふとした瞬間に芽生え始めた新しい気持ちや
そんなものを筋道立てて解釈しない。

今日、いい言葉に出会いました。
"KISS".
Keep It Simple, Stupid.
（シンプルにしとけ、ボケ。）