それは、ボストンの写真


ボストンに行ったのは、2005年の10月だったはずだ。
それから1年以上経って、
いろんなことがあって。


ボストンには出張で行った。
まだ人事にいるときで、その後何が待ってるか
なんていっさいの想像もせずに、その時の仕事を
楽しみながら、ボストンの街では浮かれてずいぶんと
単独行動をした。


今、その写真をたまたま見ていた。
きれいな街だ。ボストンは。


写真を見ていたら、心臓を鷲掴みにされているような
焦燥感なのか
懐かしさなのか
なんだか表現に困る気持ちに駆られた。


あのとき、私はその時の状況に大きな満足も不満もなく
日々楽しんで過ごしていた。
今の方が忙しいし、大変だし、いろいろなことが日々起こる。
あのときに戻りたいとは思わない。
だけど、
ああ、あの頃あの時自分はああだったな
あんなことがあったな
と思い出すのが多いのがあのボストン出張だ。


あの時にある人と話しをしたことが今の自分の状況に
大きな影響を与えている、ということ。
人生はそんなことの繰り返しなのだけど、
あの楽しかった出張は、仕事でいったくせに、仕事以外の
私の人生に大きな、大きな、影響を与えているような気がする。
写真を見ていたら、なんだかそんな
月日が確実に経過している、そのこと。
あの時には見えていなかったものが大きくたくさん起きていること。
あの時あの場所であったこと。
そんな当たり前のことがいっぱい頭に浮かんできて、
胸がいっぱいになった。


それは焦燥感なのか。

あの時、新婚ほやほやだった兄夫婦に今度こどもが生まれる。
新しい生命は、こうやっていろいろな
「あの日、あの時、あの場所で」を繰り返し、
たくさんのよろこび、悲しみ、怒り、楽しみを感じることに
なるのだろう。