越えてはいけない一線はどこか


羽田に到着してスタバでコーヒーとおやつをつまみながら、この一服はどの食事分換算かと考えていた。睡眠不足にめっぽう弱いので、最近の生活が少しハードに感じられる。とろけるように眠い。今日の飛行機では、行きも帰りも座った瞬間から着陸のドスン、まで記憶はほぼ、ゼロ。
スタバを出て、ちゃんと寝ないとなあ、と思いながら乗った電車でも、座れた瞬間に寝ていた。乗り換えた記憶がないのだけど、さすがに帰巣本能とやらはすごい。


さてそんなわけで、帰宅してすぐに寝ようと思ったのだけど、やっぱりどう換算しても昨日あたりから一食食事が不足しているためか、おなかが睡眠を容認しない。買い物や作るのも難儀だし、どうしたものかと思っていたらぱっとつけたテレビで回転寿司の映像。一瞬ひるんだけれども、欲望は抑えられずにジーンズに着替えジャケットを羽織って、自転車にまたがった。お風呂に入ってしまう前でよかった。レッツゴー回転寿司。


一度も一人で行ったことがなかったが、近頃は少し大きめの駅の近くなら必ずと言っていいほどこぎれいな回転寿司があるもので、すぐにお目当てのお店が見つかった。
なかなかにぎわっている明るいお店で、他に女性一人、という客はいなかったけど、カウンターの奥に腰を据えておいしく食べた。回転寿司で「値段なんか気にしないもんね」といきがってもたかがしれているので仕方ないのだが、食べたいものだけ頼んでいるのは幸福だった。
それにしても、女性一人客はワケあり、に見えるのか。店長?らしき人が、やたらやさしかった。イクラ、と頼んで待っていたら、出てきた軍艦巻きの隣に、こんもりイクラの山が。「おまけ」と。わーい、ありがとう、と喜んでたら、「こういうの、ちょっとうれしいよね」とその店長。おっと、それを自らいっちゃあ、おしめぇよ。と笑ってしまいそうになりながら、実際に嬉しかった。心に染みます。
まだ仕事の合間?とか、貝は好き?(今日のお店のオススメがあまたある貝だったようで。貝は好きじゃないので会話がとぎれたが。)とか、ちょこちょことその後もさりげに気にかけてくれる様子は、特にワケありではない身としては気を遣わせちゃったかとかえって申し訳なかったけど、ワケなどなくてもありがたいものでした。


先日会社の同期と話していた時に、「我々も下手したらもう"おじさん""姐さん"と呼ばれてしまうところに来ているのではないか」という話になった。こうしてまた一つ、一人でできることを増やしてしまうことで、また強さを手に入れてしまうのか。そしてその道をさらに加速度を増して進むことになっていくのだろうか。


明日から、二月。