「国家の品格」★★☆☆☆
経緯:Kさん(ボス)から貸してもらった
なにやら巷で少し話題になっているとのことで、
ボスに貸してもらって読みました。
まず、こんな本が出版されていることにオドロキ。
正直、「これ、本にしちゃっていいの?」という感じ。
気軽に書かれたブログとかと同じくらい、軽い。
何が、というとまずもって文章が話し言葉みたいで、ブログっぽい。
そして、書いてあることにきちんとした検証がない。
(「これこれこうだ、俺が知ってる限りでは。」という感じ。)
一応なんか検証っぽいことを言ってる部分もあるけど、
たとえば具体的には「天才が生まれる環境」についての考察。
途中から突然一人の天才にだけスポットを当ててその人が筆者が仮説として
立てた環境に育っているから「ほら正しいでしょ」という文脈になってる。
読む限り、その人一人についてしか検証できてないように感じるが・・・。
恐るべし。
そんなわけで、重みがない。
まったく。
ただ、言ってることの内容では共感する部分もある。
●英語は小学校で教える必要はない、むしろ日本語を100%完璧にして
日本文学・文化への造詣を深めるほうが大切
→海外にいた経験からして、激しく納得。
英語が少しばかりしゃべれる日本人より、
習字で何か書いて無言で渡せる日本人の方が尊敬される。
そして、日本文化について何も知らない日本人はばかにされる。
●論理というものは、出発点がもともと「仮説」だから信頼できない
●理由なくして「だめなものはだめ。以上、おしまい」ということはある。
(例えば、殺人をしちゃいけないのには理由はない。だめなものはだめ)
→特に分別の固まっていない幼少期〜小学校なんかは、価値観の土台を作るために
絶対だと思う。まったく疑問を持たせる余地もなく押し付けていいと思う。
●日本人は高貴、日本文学は秀逸、という話。
→欧米の「名著」といわれるものを読んでても、日本文学ほど心の機微を
丁寧に描いているものはないと思う。
まあ、最近の日本文学は言葉遊び・上っ面の情感をちょっぴりアンニュイに
表現しただけで重みがないし、日本語の音感もキレイじゃないから大差ないと
思うけど、昔の日本文学はすごい。
●基礎力が大事。基礎の勉強ができることが本当の力だ。
ざっと抜粋してこんなところかな。共感できたのは。
しかし、いかんせん「品格」というならそれにふさわしい書き方が
あるように思えてならない。
まるっきり口語のような文体、検証の破綻、、、
まあ著者自身が「理論なんてくそくらえ」と言ってるわけだから、
きちんとした理論立てができていないことは自己矛盾にはなってないが。