「電波利権」★★★★☆

経緯：会社同期SUMO　WRESTLER　Kからの推薦

端的にいうと、テレビの現状とそこに至った経緯、それから電波というものがどういうものなのかを説明した本。今後のテレビメディアやその他の電波メディアがどうなっていくのか、どうあるべきなのかが書かれていて、メディアに携わる人は読んでおいて方がいい、と思った。

著者自身がNHKにいたこともあって、電波の事情に詳しく、日本のみならずアメリカの現状についても述べていて、そこからも今後日本の電波利権がどうなっていくかという考察がされている。
自分はまったく電波について理解していなかったので、最初「難解だなあ」という印象を受けたけど、これをしらずに今自分がいるマスコミ業界にいることはひじょーにキケンだと思うので、読んでおいてよかった。ほんとに。

現在の日本のテレビメディアを取り巻く環境というのは、過去の利権争いで決められた状態のままになっており、その分従来のメディアは優遇され（必要以上に）、携帯やネットというニューメディアが異常なまでにおしやられている。従来の電波の配分だと効率的でないから再配分OR開放するべきだけど、実際には現在利権を持っている人が手放そうとしないから非常に難しい。しかし従来メディアがその電波に固執し、利権を保持しようとすればかえって自分達の首を絞めることになるのではないか、という筆者の理論はわかりやすく納得性も高い。
また、電波の再配分/現在の保持者からの買取をどのように進めればいいかということに対する提案も理想論で終わらず、具体的で実現可能性も十分高いのではないかと感じさせれるものだった。

既得権益者が現状の維持に努めても、結局時代の大きな流れを堰きとめることなんてできない。それだったら、むしろ先にその流れに乗ってその先にあるものに目を向けて、長期的にプロフィットできることを考えた方が、自分達のためにも世の中のためにもなるんじゃないのか。
というか、むしろそうしないとヤバイんじゃないのか？

メディアに携わる人、それから政治に携わる人にも一読してもらいたい。
そんな本。