「新ネットワーク思考」★★★★★★

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

本当は5★満点だけど、もう例外的に6★行きます。


日本にWeb2.0とかロングテール等の考え方が広まる
うんと前に、現代の社会を理解する上で
中心にすえるべき「ネットワーク」について深く研究し、
それを体系的かつわかりやすく、そして何より面白くまとめた本。


いまだ読み終われない「創発」を読み進めるにあたってもお勧めだと、
すすめられるがままに読んだが、読んでいるうちに興奮してしまった。
とてつもなく、面白い。


以上感情のみの訴えで何がどう面白いのかを全く表現できていないので
うまくかけないが少しだけ書いてみる。


例えば従来の統計学においては分布というものは釣鐘型にプロットされるが、
「スケールフリー」ネットワークにおいては分布は釣鐘状ではなく、
極端に大きい異常値のような少数の存在とその他、というような分布になる。
これはリアルなネットワークを想定して置き換えると、
例えばあるネットワークにおいて「ハブ」となっている存在というのがいて、
そのネットワーク内のほかの人(ノード)と比較したときにハブとなっている
人(ノード)から出ているリンクの数は、圧倒的にその他を凌駕している。

こういうスケールフリーネットワークにおいては、
事故(ランダムにノードが攻撃される)という状況には強いが
攻撃(狙い撃ちでハブが撃たれる)には弱いという特徴があったり、
ハブが情報を発信したときに伝播するスピードがものすごいという特徴があったり、
・・・まあとにかく、面白い。


この本を読むと、自分の周囲に対して見る視点がちょっと増えたり、
いろいろな実験がしたくなったりする。
リアルなネットワーク(人と人とのつながり)において、ハブ化しやすい人と
そうでない人がいる、ということに気づく。ハブ化しやすい人がどんな特徴が
あるのだろう、と興味を持つ。
ちなみに興味深いのが、ハブとなる人が必ずしも情報や時代を一番にキャッチ
するわけではない、ということ。これは自分の身の回りでもリアルに納得のいく
現象があるのだが、とても興味深い。


こういう考え方は数学だったり生物学の分野で進んでいるようだが、
実際には社会や人間のネットワークを理解することの基礎となっていて、
マーケティングの分野でもっと取り入れられないといけないと思うのだが、
実際はどうなのだろうか。あまり感じないように思うが・・・