たきのおトイレ


今朝、ワケあって西八王子駅のトイレにいた。
いや、ワケがあったのは西八王子の駅で、
トイレは普通の事情でいたのだけど。


最近のトイレには音声ガイダンスというものが流れていて、
そのトイレにも流れていた;「向かって右側奥が 女性用トイレ です・・・」


最近の会社のメールシステムというのは便利になっていて、
外出先からも携帯でメール確認ができるようになっている。
西八王子での「ワケ」を済ませた帰りの電車で、その便利な機能を使って
メールを確認したら、瞬時には信じがたいことを暗示する内容が
目に飛び込んできた。


社内で今のチームに来る前にいた部署にいたときに、
仕事で、初めてのクリエーティブ作業をやったときにお世話になった人。


その人が、かえらぬ人 となってしまった。


つい 少し前 に会った時
・・・あれは、いつだっただろうか?
その時に、本当に、本当にとりとめのないことを話した。
なんて言ったんだろう?私は、どんなことを言った?
ずいぶん前のようにも感じるその会話が、まさか最後に
なってしまうとはこれっぽっちも思ってなかった。


・・・あの作業が自分にとってどんな意味があったか
どう思ったか どう感じたか どう感謝してるか
私は伝えただろうか?その人に、少しでも伝えただろうか?
記憶を掘り返す、十分だったか、あれで伝わってただろうか?


まだ信じられない気持ちがいっぱいで、でも
お通夜で本当にたくさんの人が参列している中で
私よりよっぽど多くのものを共有している人たちがたくさんいる中で、
少ししか関わっていない私の中にもじっくりと存在感を残している
彼の人柄を思い、そのことに すごいなあ、素敵な人だなあ と
改めて尊敬の念を強く感じる。


最初のトイレのガイダンスの話だが、音声ガイダンスの続きは
「・・・手前は たきのおトイレ です。」
滝の、おトイレ・・・?
なんて素敵なエンタテイメントをJR西八王子駅が用意しているワケもなく、
正解は車いすの利用者やおむつの交換台もある「多機能トイレ」。


今日大勢の先輩後輩から見送られたあの人に、もしその話ができたら、
きっと少しニヒルな印象の笑みで、それがどうしたというような表情で、
かすれた声で、なにかとりとめのないやさしい言葉をぼそっと
言ってくれただろうな と思う。


ご冥福を心よりお祈りします。