complex simplicity


東京を地下鉄で移動するとき、本などもっていなくても、暇つぶしには事欠かない。最近のフリーマガジンの隆盛といったら。その中でも、ひときわ人気の雑誌がある。それは、

  • mtero min.

http://www.metromin.net/index.aspx


このフリーペーパーの、人を引きつけるものは何か?


いろいろとフリーペーパーを読む中でも、このコンテンツの質は高めだと思う。文章も悪くない。実は商業主義的な内容もあるのだけど、それの出し方が嫌みでない。(金のにおいがぷんぷんする、というものではない。少なくとも。)写真も、まあ悪くない。


全体として、なんとなく、「洗練」を感じるのだ。
それが読んでいて心地よい。


では、その「洗練」さはどこからくるのか?


それは、デザイン。レイアウト。


というかもっというと 【     】 の多さ。


空白、ムダ?なスペース。
それによって、「情報を詰め込むぞー!」という鼻息の荒さを感じさせない。空白が余裕を生み、全体を洗練された印象に仕立て上げている。その雰囲気は、クリエイティヴな印象を作り上げる。そして、そのクリエイティヴィティこそが、人々を惹きつけているもの、だと思う。


友人Kが、あのサイトはすごいなあ、と思う、と言っていた、とある有名企業のサイト。
http://www.apple.com/
何がすごいか?この企業は、パソコンの会社である。電化製品の会社である。比較のために、試しに日本の有名な電化製品メーカーのHPを開いてみると、わかるだろうか。
電化製品メーカーの、HPへの欲望。それは、誇るべき当社製品のスペックを、とにかくすべて!あますことなく!詰め込むこと。読んで!当社の製品はすばらしい!
appleは、その電化製品メーカーには必須の膨大な情報を、すばらしく美しく詰め込んでいる。それが、すごい、とはKの弁。確かに、日々増えていくはずの情報を、あたかもデザイン上の必然のように感じさせる。すばらしいデザイン性だと思う。


そして、中でもおもしろいのが、CM集。日本でも「僕はPC」「僕はmac」という二人の登場するCMがOAされているが、上記HPで見られるものは、同じギミックで、もっと直球(アメリカだけに)、そしてもっとバリエーションがある。おもしろい。
見ていて思うのだけど、そのCMたちは、あーんまりお金はかかっていない。日本のもそうだけど、セットは真っ白なスタジオ撮影、男性二人のファッションにもお金がかかっていない。なのに、すごい。


ところで、いろいろと併せて考えていたら、macのこのCMが成立することと、metro min.が受けていることの根っこには同じ現象があることに気づいた。
それは、人々がよりcreativeに生きたいと願っている、ということ。


CMの中で、mac君が「いろいろcreativeなことができるよ」と言う。
PCが仕事に便利だよ、ということはみんな知っている。だけど、それだけじゃつまんないなあ、と人々は思い始めている。だから、そんなPC君を揶揄するように、ちょっとからかい気味によゆーで存在しているmac君が、人々から「いいなあ」と思われる。

metro min.という雑誌の今回の特集。クリエイティヴな生き方をしている人の姿が取り上げられている。how can u b creative, different from others? それが、一つのテーマ。この雑誌の存在自体、「持ってることでcreativityを持ち歩ける」という満足感を人々に与えているはずなのである。その計算されたシンプルなロゴ、表紙のデザイン、ページのレイアウトによって。


creativeとはなんなんだろうか。
どうしてそうありたいと思うのだろうか。