「下流社会」★★☆☆☆


経緯:Y(ダー)の部屋にあった

今さら感たっぷりながら、本を読む余裕も出てきたので、借りてたものを一掃しようと思って読み始めた。
「やっぱりなあ」という印象。最近のバカ売れする新書は、内容を伴わずともキャッチーなタイトルにより買われて、その数字がアマゾンや本屋の店頭ランキングに反映されることですぐに大ヒットとなる。その過程での内容への評価はほとんど吟味されずに売上が伸びているように思う。
本の売上が回復しているという傾向について耳にしたが(信憑性は定かではない)、そういう要因でタイトル買い/ヒットしてる感買いが増えていて、その時に受け皿となるアマゾンのような気軽なショッピング機能があるからそうやって売れていくのかな、と。
アマゾンの買わせ方は本当にうまい。サイトに行ったが最後、タイトルを見てちょっと気になると、買うつもりのなかった本まで買ってしまう。ひいてはそんな風に本を4,5冊オトナ買いしたことに満足感まで感じてしまう。
本の購買行動とアマゾン戦略に見事ひっかかっている話はこのあたりにして。


下流社会

現代の社会人を年齢層ごとにわけ、志向性と実際のステータスを類型化している本だと捉えました。確かに年齢ごとにその時代を反映して考え方、とくに何を目指して何を幸福と感じるかは大きく違うと思う。また、自分の志向性も見事近年の若者の類型の一つにハマる。ただし、類型化した以降の趣味や消費行動については、必ずしも自分のハマる嗜好性の人の選択しとは合致しない。
こういうデータにはもちろん例外もあるし、筆者がマーケターであることを考えると全体として大枠で「こういう傾向だよね」ということを捉え、「だからこうしましょう」というマーケティング戦略のベースになればいいというのが考えなんだろうと思う。ただし、やはり気になる。特に気になるのは

  • データを取った母数が少な過ぎる
  • データを表記する際、理論上利用している箇所を巧みに色分けしすぎている

点か。17人とか、そんな程度の人間の意見をパーセンテージにすることに意味があるのか?一人変わっただけで5%以上数字が変わることはマーケティング分析上問題ないのか?
また、自分の理論をバックアップする、類型毎の差異を見せる箇所は色分けしてあるが、その差異の箇所以上に数字上で差異があるところについては表中の色分けも、文中での言及もなかったりする。

批判的過ぎるか?

ただ言ってる内容が

ということに集約され、そのバックアップとしていかに日本社会が階層化しているかということを述べていると解釈すると、割と当たり前のことを何をいまさら、と感じた。
ちなみにもっとskepticに言うと、この人は今後自分のマーケティング上の戦略をクライアントに買ってもらうために、自分の立ち位置の前提を本を以って正当化しているという見方もできる。
経済アナリストが自分の保有株の価格があがるようなコメントを出すのと同じ論理。


ただし「上」向けの商品が売れていることは間違いない。最近の高級(笑)ビール、ボトルの「無濾過」とかプレミアムモルツ、の売れ行き。また、「下」向けの商品も売れていることも間違いない。「のどごし<生>」なんてその最たるもの。(と前ボス)ちなみに真ん中も売れています。発泡酒でいうと「淡麗<グリーン>」("やせるビール"として愛飲中)とかね。
まあ、夏だからなぁ。

今日もまた 残暑厳しく ビール日和♪