80%を拡大せよ


先週末、友人Nと話をしていた。
落ち着く一瞬が時たま訪れる以外は、まだまだ焦りと不安とよくわからない気持ちで心が落ち着かない日々。そんなわけで彼女と話していた土曜の夕暮れ時も、所以のない焦燥感から落ち着かずに仕事のことについて話していた。
彼女もまた、仕事での色々な思いや不安な体験を経験している人。
その彼女自身が支えてもらっている先輩から言われた言葉を教えてくれた。
いわく、「仕事は80%でやるもんだ」と。
多分人によって違うと思うが、100%とか120%をつぎ込んでしまいがちな猪突猛進型人間(よく言えばまじめで素直?)にはとても納得のいくコトバなのではないかと思う。
適度に力を抜ける人は大丈夫なので80%に抑える必要はないけど、前のめりに突っ込みやすい人は、80%位の力で仕事をやるというスタンスのほうが、かえって仕事も順調になるということ。
80%でいいんだよ、というコトバををその時彼女から聞いたことで、私はすごく納得したし、救われた気がした。
100%でぶつかっていくことで感情が全て持っていかれて、日常当然起こってくる小さな問題達に翻弄されてしまう。そんな風になるより、自分の20%は常に傍観している位のスタンスの方が自他ともにいいんだなあ、と思った。


そんなわけで彼女の80%理論に救われた。
時期を同じくして異動前の部署の上司、異動前隣のチームにいた大先輩からも色々な言葉をかけてもらった。いわく、若いうちはキャパを広げるために無理をする必要もある、だけど、無理しすぎで倒れてしまうのでは元も子もなく。そのあたりの適度な力の抜き方、自分にあった頑張り方をコントロールするのが「知恵」なのだと。そして「知恵」は経験によって身についていくと。


そんな風に色々な人から心配してもらったり言葉をかけてもらえるこの状況に感謝しながら、結局仕事をうまくこなしながら成長していくというのは、自分の「80%」を拡大していくことなんだな、と思った。
常に80%でいることは難しいし、きっと若いうちは「おっと、これは101%位なんじゃないか?」と思うようなあっぷあっぷの状況もあるんだろうと思う。そこを泳げるようになったら、きっとしばらくして同じようなところを通過する時には楽になってるんだろう。まあ、おぼれないように時には浮き輪につかまりつつ、80%を拡大しようかな、と。


ところで全く関係ないが80%理論で私を救ってくれた友人Nとその彼氏S(おだやかで素敵な人)と、Y(ダー)と先日花火を観にいった。こういうものを世にダブルデートと呼ぶのだろうと思うが。ちなみに二人は浴衣と甚平という粋な姿で登場し、それはそれは素敵でお似合いで幸せそうで、なんといったらいいのかわからないけどとにかくありがとう、と思った。何が、かはわからないけど。
広い川原に座ったり寝そべったりして花火を見上げる多くの人達の合間で、火の粉が降ってきそうな位近くに感じられる花火を観ながら、その時、その空間、その全体が静かにうれしかった。
すぐそばのにいた2歳くらいの子供が音におびえて泣いていて途中で引き上げてしまったことも、食べていたたこ焼きにたこが入っていなかったことも、4歳くらいの男の子が花火を観ながらもそれより一緒にいる親戚のお兄さんとじゃれることを楽しんでいた様子も、友人Nの浴衣の色も、4人で撮った写真も、その一つ一つがこの花火を構成する大事なピースとなって、きっとまた、来年のこの花火で思い出すことになるのだと思う。